日本の観光地には、旅館と呼ばれる宿泊施設がたくさんあります。地域ごとに特徴や売りにしている物が違い、日本全国の旅館を渡り歩くだけでも楽しめるのが旅館の魅力です。
ホテルよりも、人情に溢れ宿泊者とスタッフの距離が近いのも特徴の一つ。日本人のみならず、外国人の方もあえてホテルではなく、旅館に泊まるというこだわりぶりを持つ方もいるほどです。
もう一つ旅館の良さと言えば、和風な建物というところではないでしょうか。ホテルのような洋風の外観ではなく、日本ならではの和風な建物の作りと日本庭園や美しい植物や木々。
今回は、そんな旅館の魅力をご紹介していきます。
旅館とホテルの違い
旅館というと、日本的な雰囲気のある、機能面よりも情緒を重視した宿泊施設という印象を持つ人も少なくないでしょう。
日本には「旅館業法」という法律が存在していて、その中でホテルと旅館はそれぞれ以下のように書かれています。
(1) ホテル営業
引用元:旅館業法概要|厚生労働省
洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である。
(2) 旅館営業
和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である。いわゆる駅前旅館、温泉旅館、観光旅館の他、割烹旅館が含まれる。民宿も該当することがある。
余談ですが、この2つに該当しない宿泊施設を日本では「民泊」や「ペンション」と呼んでいます。
法律からみて基本的な定義と区別を紹介しましたが、もう少し掘り下げてみましょう。
種別 | 特徴 |
---|---|
旅館 | ・客室:主に和室(畳)がメイン ・寝具:布団やベッド ・宿泊スタイル:2名以上で食事の有無を選択可能、施設によっては素泊まりも可能 |
ホテル | ・客室:主に洋室 ・寝具:ベッド ・宿泊スタイル:1名以上、基本的には食事なしで素泊まりが可能 |
ホテルはコンパクトなシングルルームを持っていたり、テーマ別のレイアウトやインテリアを用意していたりと、旅館と比べると利便性や嗜好を重視した施設ともいえます。
上記に含まれない民宿やペンションは、和室も洋室もあり、寝具も布団やベッドと様々です。地域密着型で個人で運営しているところが多いというのが特徴ですね。
旅館の魅力
ここでは、旅館に興味を持った方のために、旅館の魅力をいくつかご紹介します。
おもてなし
日本の文化でもある「おもてなし」という言葉は、東京五輪を誘致する際にも使われた有名な言葉です。
ホテルにもおもてなしを重視しているところはありますが、旅館のおもてなしは日本人を含め海外の方からも喜ばれるほどで、大きな旅館の魅力となっています。
その内容は荷物を運んでくれたり、食事の配膳や部屋の準備をしてくれたりと幅広く、大きな旅館だとそれぞれの階や部屋ごとに担当の仲居さんが付くほどです。
日本文化の体験
日本式建築や和室の畳など、日本文化全般を一度に体験できるというところも旅館の魅力の一つではないでしょうか。
旅館の中には数百年を超える老舗も数多く、日本庭園が自慢というところも多くあります。旅館への宿泊を検討される場合は、何を体験したいかで選ぶのもおすすめです。
旅館に宿泊する際のエチケット
旅館は、ホテルとは少し勝手が違います。普段からホテルに宿泊することが多い方は、戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
そういったことがないように、最低限のエチケットを知っておきましょう。
チェックイン・アウトの時間を守る
ホテルでもそうですが、チェックインとチェックアウトの時間は守るようにしましょう。旅館では、到着時間・退出時間に合わせて従業員に仕事を割り振り、様々な用意や清掃を行ったりしています。
旅館側に伝えていたチェックイン時間より遅い到着になりそうな場合は連絡し、かつ最終チェックイン時間より前には到着するようにしてください。また、チェックアウト時間も守りましょう。
荷物や食事・就寝の準備は任せる
旅館の中には、大きなシティホテルのように荷物を部屋まで運んでくれるところもありますので、申し出を受けた際は任せましょう。
さらに夕食の時間になると、コースの順に料理を持ってきてくれたり、飲み物のおかわりを定期的に用意してくれたり、白米をよそってくれたりと至れり尽せりの体験ができます。基本的にはお任せして、リクエストや不要なことがある場合は伝えるようにすると良いでしょう。
また、畳の部屋であれば旅館側が布団も敷いてくれます。お風呂に行っている間や夕食を別会場で食事している間などに準備してくれますので、貴重品は金庫に入れておき、荷物もできるだけ一ヶ所にまとめておきましょう。
ちなみに、勝手に部屋に入られることに抵抗がある場合は、フロントでその旨を伝えておけばOKです。
日本にあるおすすめの旅館
どの旅館に泊まるか迷っている外国人の方向けに、おすすめの日本旅館を紹介します。
日の出屋旅館
トリップアドバイザーの「外国人に人気の旅館2020」年で1位に輝いた、伊豆高原駅から徒歩5分ほどの場所にある旅館です。駅からの送迎バスもあります。
日本の昔ながらの建築と引き戸の玄関という、これぞ旅館という雰囲気を持った旅館です。値段もお手頃なのに、おもてなしが素晴らしいとのレビューも。
京町家 楽遊 堀川五条
京都府京都市にある旅館です。こちらもトリップアドバイザーの外国人に人気の旅館2020年で2位に輝きました。
100年以上経った京都の町家を旅館へと改築したとあって、とても趣があります。
ATAMI せかいえ
東京からすぐ行けるリゾート地として有名な熱海にある旅館です。相模湾を一望できるお部屋もある点が魅力ですね。
東伊豆は夕焼けが短いのですが、日の出を見ることができるので朝風呂は格別かもしれません。
まとめ
日本には日本文化を体験できるような旅館がたくさんあります。地域の人とのふれあいや、その土地ならではの雰囲気を味わうには、旅館がおすすめです。
いつもホテルに泊まっているという方は、この機会にぜひ旅館へ足を運んでみてください。