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印鑑(はんこ)の作成と印鑑登録

日本では、様々な書類にサインの代わりに印鑑(はんこ)を押します。サインでOKな手続きもあれば、印鑑を押さないといけない手続きもあります。

サイン文化に慣れている人は戸惑うかもしれませんが、日本で暮らす場合には必要になることが多いので、ぜひ用途を学んでおきましょう。

※「印鑑」と「はんこ」は厳密には違う意味を持つ言葉ですが、今ではほとんど同じ意味で使われているので、どちらを使っても通じます。

印鑑の種類と用途

一口に印鑑といっても、用途に応じて大きく3つの種類があります。自分が必要なのはどの印鑑なのかを確認してみてください。

実印

印鑑のうち、もっともオフィシャルなものが実印です。法的な効力を持つもので、使うためには市役所や区役所で印鑑登録(詳しくは後述)を行う必要があります。

利用シーンは不動産や車などの売買、生命保険の加入、ローンの契約、遺産相続など。主に公的な手続きに利用されると覚えておきましょう。

サイズは8~25mmに収めて、住民登録されている名前と一致した苗字、名前、あるいはフルネームのいずれかで作ります。素材は黒水牛やチタンなど、耐久性に優れていればOKです。

ちなみに、たとえ苗字で作ったとしても、家族間で同じ実印をシェアすることはできません。実印が必要な人の一人一人が、それぞれ別の実印を用意します。

銀行印

銀行印は、その名の通り銀行での手続きで必要になる印鑑です。口座開設時などに銀行に届け出た印鑑が銀行印となります。

普段、生活資金を口座から引き出す際にはATMを使う人がほとんどです。しかし、ATMの取引上限を超えた金額を引き出したいときなどは窓口で手続きを行います。その際、本人であることを確認するために銀行印を使用するのです。

口座振替の申し込み時や、銀行に届け出ている住所などの情報を変更する際にも必要になりますので、覚えておきましょう。

認印

実印や銀行印として届出をしていない印鑑は認印と呼ばれ、一般的な契約書や市役所等への届出、履歴書などへ押印する際によく使われます。

会社での事務作業や宅配便の受け取りなどでも使いますが、これらは後述するシャチハタの認印を使うと便利です。

実印ではなくとも「承認」や「了承」を意味するため、契約書に捺印する際などはしっかり内容を確認してから押すようにしてください。

シャチハタ

シヤチハタ ネーム9 画像引用元:シヤチハタ公式サイト

シャチハタというのは一般的にインク浸透印を指す言葉で、主に認印として使われるはんこの一種です。最初にインク浸透印を開発したシヤチハタという会社の名前が広まったものですね。

印鑑は基本的に押印時に朱肉を使ってインクを付ける必要があるのですが、インク浸透印の場合はインクが内蔵されているので朱肉が必要ありません。そのため非常に便利で、日常的に使う印鑑としてはもってこいなのです。

しかし、公的あるいは重要な書類手続きでは、「シャチハタは不可」という指定をもらうことがあります。これはなぜかというと、インク浸透印はスタンプ面がゴム製になっているからです。

ゴムやプラスチックの印鑑は変形や摩滅のおそれがあるほか、押し方によって印影が変わる可能性もあるため、重要な書類ではあまり使用できないのです。シャチハタは「シャチハタ不可」と指定されていない場合に認印として使用すると良いでしょう。

印鑑をサインで代用することは可能?

実印や銀行印を使う手続きは、基本的にサインで代用するのが難しいと考えておきましょう。

一方、認印の手続きはサインで代用できることもあります。たとえば宅配便の受け取りなどは、最近は日本人でもサインで行っていることが多いです。

気になったら書類の提出先に聞いてみると、サインでもOKとしてくれるかもしれませんね。

印鑑登録の手続き

手持ちの印鑑を実印として扱うためには、住んでいる地域の市役所や区役所での印鑑登録が必要です。印鑑登録を行うことで、印鑑登録証明書(印鑑証明書)も発行できるようになります。

ここでは、一般的な印鑑登録の手続きを紹介します。

どの手続きでも「実印として登録する印鑑」を持参する必要がありますが、用意できる身分証明書によって手続きが多少異なるので注意しましょう。

本人が窓口に行く場合

印鑑登録を行う本人が窓口に行く場合、身分証明書の種類や保証人の有無によって窓口に行く回数が変わります。

顔写真付きの身分証明書がある場合

運転免許証などの顔写真付きの身分証明書がある人は、基本的に即日で印鑑登録を済ませることができます。外国人の方なら在留カードを用意しましょう。

必要なもの
  • 実印として登録する印鑑
  • 顔写真付きの身分証明書
手続き
  1. 役所で印鑑登録の用紙に記入し、窓口に提出
  2. 完了

顔写真付きの身分証明書がない場合

健康保険証など、顔写真のない身分証明書しか用意できない場合は、最初の手続きを済ませた後、自宅に届く照会書(回答書)という書類を持って再度窓口を訪れる必要があります。

必要なもの
  • 実印として登録する印鑑
  • 顔写真なしの身分証明書2点(健康保険証や年金手帳など)
手続き
  1. 役所で印鑑登録の用紙に記入し、窓口に提出
  2. 自宅に照会書(回答書)が届くので、必要事項を記入
  3. 記入済みの照会書(回答書)を持って再度窓口に行く
  4. 完了

顔写真付きの身分証明書はないが、保証人がいる場合

すでに印鑑登録を済ませている家族などの保証人がいれば、顔写真のない身分証明書しかなくても即日で印鑑登録ができます。

必要なもの
  • 実印として登録する印鑑
  • 顔写真なしの身分証明書2点(健康保険証や年金手帳など)
  • 保証人の署名・押印(保証人の実印)
  • 保証人の印鑑証明書(同じ地域で印鑑登録をしている場合は原則不要)
手続き
  1. 役所で印鑑登録の用紙に記入(保証人欄も含む)し、窓口に提出
  2. 完了

代理人が窓口に行く場合

何らかの理由で印鑑登録を行う本人が窓口に行けない場合は、代理人に手続きをしてもらうこともできます。

必要なもの
  • 実印として登録する印鑑
  • 顔写真付きの身分証明書(2回目の手続き時に原本を持参)
  • 委任状
  • 代理人の身分証明書
  • 代理人の認印
手続き
  1. 代理人が役所で印鑑登録の用紙に記入し、窓口に提出
  2. 本人の自宅に照会書(回答書)が届くので、必要事項を記入
  3. 代理人が記入済みの照会書(回答書)を持って再度窓口に行く
  4. 完了

なお、印鑑登録の手続きは市区町村によって上記とは異なることがあります。手続きを行う市区町村のホームページ等を確認し、その地域での手順を確認してみてください。

印鑑登録の手続きが完了すると、印鑑登録証というカードをもらえます。このカードを持っていくことで、窓口での印鑑証明書の発行が可能になります。

印鑑証明書の発行方法

不動産や車を購入するときなどに必要となる印鑑証明書は、印鑑登録証を持って手続きすることで発行することが可能です。

必要なもの
  • 印鑑登録証
  • 手数料(100~300円程度のところが多い)
  • 本人確認書類

役所で発行する場合、専用の申請書が役所に置いてあるので、必要事項を書いて窓口に提出しましょう。印鑑登録証がなければ証明書は発行できませんので注意してください。

マイナンバーカードがあり、かつ利用者証明用電子証明書を登録している人なら、コンビニエンスストアにあるマルチコピー機でも印鑑証明書の発行が可能です。

ファミリーマートのマルチコピー機 画像引用元:ファミリーマート公式サイト

ただし、利用者証明用電子証明書は別途申請が必要です。詳しくは各自治体のウェブサイトをご確認ください。例として神奈川県相模原市のページを載せておきます。

印鑑を作れるお店

印鑑を作れるお店としては、はんこ屋さん21などの全国展開しているチェーン店がありますが、ここでは英語対応しているお店を紹介します。

オンラインでの注文を受け付けているお店もあるので、実店舗の訪問が難しい方は検討してみてください。

まとめ

日本で行われる大事な契約や手続きの中には、印鑑を必要とするものがいくつかあり、サインで代用できないこともあります。

そのため、特に印鑑を必要とする手続きを行うことが多い中長期在留の外国人の方は、先に専門のお店で用意しておくと良いですね。

実印・銀行印・認印の3種類があってややこしいですが、それぞれ役割が違いますのでしっかり覚えておきましょう。