留学生活や駐在中に病気になったらどうしようという不安はありませんか?
そんな時に助けてくれるのが、健康保険です。健康保険に入っていれば、日本で病気になった際に高額な治療費を払わなくて済みます。
今回はそんな日本の健康保険の仕組みと加入の手続き方法についてお伝えします。
日本の健康保険の種類
日本の健康保険には、大きく分けて国民健康保険と社会保険の2つの保険があります。
日本には「国民皆保険制度」があるため、一部条件を除き、日本に住む人は必ずどちらかの保険に加入しなければなりません。
どちらの保険に入っても、病院に行った際の負担額の70%を国が負担してくれる点、つまり負担額の割合は全く同じです。また、出産した際には「出産育児一時金」として一律42万円が支給される点も変わりはありません。
違いは、対象となる人と保険料にあります。
対象者の違い
まずはこの2つの保険の対象者についてご紹介します。
国民健康保険には以下のような人が加入します。
- 自営業・農業や漁業を行っている人
- パートやアルバイトで職場の健康保険に加入していない人
一方、社会保険に加入する人は以下の通りです。社会保険の加入対象にならない人は国民健康保険の対象となります。
- 公務員
- 会社員
- 社会保険を持っている人の扶養内の人(家族など)
なお、社会保険の中には以下の5つの保険が入っています。国民健康保険とは違い、社会保険は勤めている会社と本人が共に保険料を払います。
- 健康保険
- 介護保険
- 年金保険
- 労災保険
- 雇用保険
一般的な留学生が加入できるのは国民健康保険です。会社に勤めている人は社会保険の対象者となります。
保険料の違い
次に保険料についてご紹介します。
社会保険では、加入している人の扶養者が増えたとしても負担額が変わりません。一方で国民健康保険の場合は、出産や結婚などで家族などの扶養者が増えた場合、人数分の保険料を支払わなければなりません。
また、社会保険は勤めている会社と本人が共に保険料を払います。そのため健康保険として見ると、国民健康保険に比べて負担額が少なくて済みます。
外国人も必ず健康保険に加入する必要がある?
それでは留学生や駐在員も必ず健康保険に加入しなければならないのでしょうか。結論から言うと、条件によって入る必要のある人とない人に分かれます。
一般的には、3ヶ月を超える在留資格を持っている外国人などは健康保険に加入する必要があります。具体的には以下のような人たちです。
- 日本に中長期滞在する人
- 特別永住者
- 仮滞在・一時庇護許可を得た人
- 出生や日本国籍の喪失により日本に在留することになった人
一部例外もあります。
在留期間が3ヶ月以下の人でも、在留資格が興行、技能実習、家族滞在、公用などの場合で、3ヶ月を超えて滞在することを認められる人は国民健康保険に加入できます。
国民健康保険については、渋谷区が出しているハンドブックが詳しいのでぜひご確認ください。
健康保険へ加入する必要がない外国人
一方で、健康保険に加入する必要がない外国人もいます。主に以下のような人たちです。
- 在留資格のない人(不法侵入者や在留期間が切れている人を含む)
- 在留期間が3ヶ月以下の人
- 在留資格が外交または短期滞在の人
- 75歳以上の人(後期高齢者医療制度の対象になる)
- 生活保護を受けている人
会社で社会保険に加入している人は、国民健康保険には加入しません。
また、日本と医療保険を含む社会保障協定を締結している国から発行されている適用証明書を持参している人も対象外になります。2019年11月時点では、アメリカ・ベルギー・フランス・オランダ・チェコ・スイス・ハンガリー・ルクセンブルクが該当国です。
さらに、在留資格が「特定活動」のうち、医療を受ける目的で日本に滞在する本人とその介助者、観光保養などのために90日以上日本にいる人と配偶者も対象外となっていますのでお気を付けください。
国民健康保険の加入方法と脱退手続き
では、条件を満たした外国人は国民健康保険にどうやって加入すればよいのでしょうか。
手続きは、日本に入国した日や転入日、今まで加入していた健康保険の資格が切れた日から14日以内に行わなければなりません。この手続きが遅れてしまうと、支払っていない分の保険料を後から支払わないといけなくなります。
加入手続き
手続きができる場所は、住民登録を行った市区町村役場の国民健康保険窓口です。
手続きができる人は、世帯主や世帯主と同じ住民登録をしている人です。祖母や祖父など別世帯の人が手続きをする際には、委任状が必要になります。
加入手続きに必要な持ち物は、主に以下です。
- 在留カードまたはパスポート
- マイナンバーカードまたは通知カード
在留資格が「特定活動」の人は、「指定書」と呼ばれる書類も必要になります。会社の健康保険などの社会保険をやめた時は、健康保険資格喪失証明書(あるいは退職証明書・離職票など)も必要です。
人によって、また、場所によって求められる持ち物は変わる可能性があるので、事前に自治体のホームページなどで確認しておきましょう。
脱退手続き
次に、出国などで脱退したい場合はどうなるのでしょうか。
基本的には、脱退申請場所も申請が可能な人も加入する時と同じです。しかし、脱退手続きに必要なものが一つ増えます。それは国民健康保険証です。脱退の際は、国民健康保険証も持って窓口に行きましょう。
加入時と同じように理由別に必要な書類もあります。会社の健康保険などの社会保険に加入した時は、その健康保険証を持って行きましょう。
加入や脱退ではなく、住居が変わった時はどうすればいいのでしょうか。その場合は今までの住所で資格喪失の手続きをした後、新しい住所の市区町村の役所で再度、国民健康保険への加入手続きを行う必要があります。すると新しい保険証を受けとることができ、以前と同じように保険が適用されます。
社会保険の加入方法と脱退手続き
社会保険は、基本的には加入・脱退どちらも会社側が手続きを行ってくれます。ですので、会社に求められた書類を提出すればよいでしょう。詳しくは会社の担当の方に聞いてみてください。
ただし、国民健康保険側の手続きは自分で行わなければいけません。社会保険の加入時には国民健康保険は脱退手続きを行い、逆に社会保険を脱退するときは国民健康保険への加入手続きを行いましょう。
なお、たとえば転職などで、今の職場を退職した翌日に次の職場で働き始めるような場合には、国民健康保険へは加入せずに社会保険だけを切り替えます。不安な部分があれば、自治体の窓口か会社の担当者に相談してみましょう。
まとめ
今回は、日本の国民健康保険と社会保険について解説しました。
以下簡単に内容をまとめてある表を見て、自分がどの保険の対象になるのかを確認してみてください。
項目 | 国民健康保険 | 社会保険 |
---|---|---|
対象者 | ・自営業 ・農業や漁業 ・社会保険に加入していない人 | ・会社員 ・公務員 ・その扶養内の人 |
外国人の対象者 | ・3ヶ月以上の在留資格を持っている人 ・その他条件を満たしている人 | ・会社員 ・アルバイトで一定の基準を満たしている人 |
手続き方法 | 個人が役所に行く | 会社に書類を提出する |
日本で安心して生活できるよう、自分の加入する保険については知っておくと良いですね。