日本について

日本におけるフリーター

フリーターとは、日本においていくつかある働き方のひとつです。正規社員である正社員に対して、フリーターは非正規の社員です。

フリーターと正社員の一番大きな違いは「雇用期間」です。期間に定めのない労働契約のもとで雇われる正社員に対し、フリーターの雇用期間があらかじめ決められています。

現代の日本では、少なくない人がフリーターという働き方を選んでいます。日本に住んでいる外国人の方にとっても、日本の雇用形態事情は大変興味深いのではないでしょうか。

この記事ではフリーターを取り上げ、その概念や日本においての現状を解説します。

フリーターとは?

フリーターという言葉は外国には存在せず、日本ならではのものになります。フリーターとはどういったものなのか、どういった人が選ぶ働き方であるのかなど、基本的なことを確認していきましょう。

フリーターという名前の由来

1980年代の中頃、フリーアルバイターという言葉が登場しました。英語の「Free」とドイツ語で労働という意味の「Arbeit」をかけ合わせた造語です。そしてその後、フリーアルバイターが「フリーター」と変わっていったのです。

コンビエントストアをコンビニ、スマートフォンをスマホなど、言葉を短くすることが得意な日本人らしい言葉だと言えるでしょう。

フリーターが生まれた背景

さて、80年代の日本を振り返ってみると、日本が世界最大の貿易黒字国となった時代です。特に、80年代後半からはバブル経済によって多くの人が好景気を実感していました。

国内にはコンビニやファストフードなどのチェーン店が溢れアルバイトの募集が増えたこと、一時的に非正規雇用を選んでも正社員として就職したいと思ったときに就職先がたくさんあったことなどを理由に、フリーターという働き方を選択する人が増加していったのです。

フリーターとして該当するのは?

フリーターとは、一般的にはパートタイマーまたはアルバイトとして働く人を指しています。

内閣府ホームページでは、フリーターについて以下のように記載しています。

フリーターを,15~34歳で,男性は卒業者,女性は卒業者で未婚の者のうち
<1>雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」か「アルバイト」である者
<2>完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
<3>非労働力人口で家事も通学もしていない「その他」の者のうち,就業内定しておらず,希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
の合計として集計すると,この数年はおおむね横ばいで推移しており,平成26(2014)年には179万人となった。

引用元:第2節 若年無業者,フリーター,ひきこもり|平成27年版子供・若者白書(全体版) – 内閣府

このことから、フリーターはあくまでも年齢が15~34歳、かつ通学等をしていない人を指すことがわかります。学生や主婦はアルバイトをしていてもフリーターとは呼ばれないのです。

なお、パートタイム労働者については、下記のように定義されています。

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます(パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます)。

引用元:さまざまな雇用形態|厚生労働省

フリーターを選ぶ理由とは?

フリーターを選ぶのには様々な理由があります。それは積極的なものから、仕方なくという受け身なものまで人それぞれです。

フリーターを理解するために、人々がフリーターを選ぶ理由の例をみていきましょう。

勤務時間や勤務日をコントロールしやすい

フリーターの大きなメリットはその自由度です。勤務する時間帯や曜日の希望を出すことができる職場も多く、そのため仕事とプライベートのバランスを取りやすいのです。

仕事の掛け持ちができる

日本ではいくつかの企業を除いて、まだまだ正社員の副業禁止を社内規定に入れているところが多いです。しかし、フリーターであれば副業は問題ありません。

生活費を稼ぎつつ興味のある業界でも経験を積む、といったことがやりやすいのもフリーターのメリットの一つですね。

プレッシャーが少ない

フリーターでも責任感を持って働くことは大切ですが、正社員に比べるとノルマが無かったり外部の企業とのやりとりがなかったりするので、フリーターはプレッシャーが低めだと言えます。

また、転勤が無いことや業務の範囲が一定していることが多いこともフリーターを選ぶ理由になります。

このように、比較的自由な働き方ができるのがフリーターです。しかし一方で、正社員としての就職・転職が難しいために仕方なくフリーターになった、という人がいることも現実です。

フリーターとニートの違い

フリーターと混同されやすい言葉として「ニート」があります。ここでは、その違いについて解説していきます。

そもそもニートとは「Not in Education, Employment or Training」の頭文字を取ったもの(NEET)で、1999年にイギリスで生まれた言葉です。その前は「Status Zero」と呼ばれていました。

日本では厚生労働省がニートを以下のように定義していますね。

厚生労働省は、「ニートとは15~34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者」と定義してきた。

引用元:ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書

まさにもともとの英語の通り、就学、就労、職業訓練のどれも行っていない人を指す言葉です。

年齢の定義はフリーターと同じく15~34歳ですが、「働いているかいないか」に大きな違いがあります。

フリーターと日本社会

フリーターについて理解をしていただいたところで、日本社会においてどのような位置付けにあるのかご紹介しましょう。

フリーターの数と割合

総務省「就業率及びフリーターの数」図表2-(1)-2によると、フリーターの数は平成16年(2004)以降、5年連続で減少していたものの、平成21年(2009)では増加に転じていて翌年には183万人となっています(図表2-(1)-2)。

画像引用元:就業率及びフリーターの数 – 総務省

また、フリーターの割合は平成20年(2008年)以降、増加傾向になっていることがわかります(図表2-(1)-3)。

画像引用元:就業率及びフリーターの数 – 総務省

フリーターに対する社会のアプローチ

増加傾向にあるフリーターに対し、社会はどのようなアプローチをしているのでしょうか。

前出の総務省資料によれば、フリーターを始めとする若年層の非正規雇用の労働者では、不本意非正規の割合が高くなっており、その正規雇用化を重点的に支援することが必要だと述べています。

この現状に対し、厚生労働省は若年者の雇用について以下のように述べており、就職支援を推し進めることを宣言しています。

また、フリーター数は155万人前後で推移しているとともに、非正規雇用に就いた理由として「正規の職員・従業員の仕事がないから」と回答されている不本意非正規の方の割合も、他の年齢に比べて若年層では高くなっています。
 このため、若年者・キャリア形成支援担当参事官室では、

1.新卒者・既卒者等の就職支援に関すること
2.フリーターや若年失業者等に対する就職支援に関すること

等各種施策を推進することにより、我が国の将来を担う若者が安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

引用元:若年者雇用対策 |厚生労働省

現在、日本では就職支援窓口(ハローワーク)が設置されており、求人情報を検索したり面接指導を受けたりすることができるようになっています。ハローワークの利用は無料です。

まとめ

今回は、日本における働き方の一つであるフリーターについてご紹介しました。フリーターとは、パートやアルバイトで働いている、または求職中の15~34歳の人です。

自分から希望してフリーターという働き方を選び、ワークライフバランスを優先する人は少なくありません。ただ気楽だからとフリーターを選ぶのではなく、その間に経験を積みスキルを得て、将来に備えることが大切なのかもしれませんね。