夏の風物詩といえば、やはり花火。海外では大晦日や年明けに打ち上げることの多い花火ですが、日本では夏が王道です。日本各地で花火大会が開催され、会場は浴衣を着た人たちで賑わいます。
その歴史は古く、庶民が花火を楽しむようになったのは18世紀に遡りますが、昔からの伝統が現在も全国規模で多くの人に親しまれていることはとても珍しいことと言えます。
音・色彩・高度な技術が集結した日本の花火は世界トップクラスです。日本に住む外国人の方も、花火を観たいと思われるのではないでしょうか?
この記事では、おすすめの花火大会や当日の準備や気をつけたいことなど、日本の花火大会についてたっぷりと解説します。
日本の花火大会はどんなもの?
まず、日本の花火の歴史や花火大会がどんなものなのかを確認していきましょう。
日本の花火の歴史
花火は中国で火薬の発達とともに生まれたとされ、鑑賞するための花火は14世紀にイタリアのフィレンチェから始まったと言われています。
日本では戦国大名の伊達政宗が花火を1589年に初めて鑑賞し、その後、徳川家康も観たそうです。後に現在の形の花火玉ができ、そこから打ち上げ花火になりました。
花火大会は1733年に始まった両国花火(現在の隅田川花火大会)が日本最古で、そこから夏の風物詩として根付いていったのです。
海外と日本の花火の違い
海外では1種類の火薬をプレスして作った円筒形の花火が主流ですが、日本の花火は球形で色の変化もあるという点が異なっています。花火師が球体の火薬を花火玉に詰める際、火薬が飛び出す方向を綿密に計算しているのです。
花火師になるには免許が必要で、その技術の習得・鍛錬はまさに職人の世界です。その種類も割りもの・ポカ物・千輪・型物と色々あります。
このようにして、芸術性のある日本の打ち上げ花火が世界でも評価を受けているのです。
日本の花火大会
花火大会は花火を楽しむことをメインに、観光誘致として町づくりにも役立っています。
かつて世界で一番大きかった花火玉が、新潟県片貝祭りで打ち上げられる40号玉です。ギネスにも登録され、夜空で直径700メートルもの花を咲かせます。その値段は、驚きの2,500,000円です。
多くの花火大会では2万発、3万発と花火を打ち上げます。相当な費用がかかっていることに加え、会場設備費、警備費、宣伝費などもかかります。これらの費用は行政が出していたり、多くの寄付そしてスポンサーによるサポートによって捻出されたりしているのです。
夏になると、どこの花火大会に行こうかと多くの人が計画を立て始め、人気の花火大会には数万人単位の人が集まります。事前にチケットを買い、有料席で悠々と花火鑑賞をする人も少なくありません。
場所を確保したら、食べたり飲んだりしながら楽しく花火を観て夏の一夜を楽しむのです。
おすすめの花火大会
日本が誇る花火をどこで観たら良いか、選択肢があり過ぎて迷ってしまいますよね。ローカルな花火大会は気軽に行けるのでおすすめです。
ここでは、ぜひ計画を立てて行きたい全国の花火大会を5つご紹介しましょう。
宮島水中花火大会(広島県廿日市市)
世界遺産であり、松島・天橋立と並んで日本三景のひとつでもある宮島。世界各国から外国人が訪れる人気の島です。
この宮島で開催される花火大会の魅力は、水に浮かぶ厳島神社・大鳥居と花火という両主役がお互いに美しさを演出する姿です。
海岸沿い、平清盛銅像のあたり、桟橋周辺と見どころスポットはありますが、おすすめは高台から鑑賞ができる「多宝塔」です。
混雑必至ですが、早めの行動をして絶好の場所を確保してください。外国人の方にとっても忘れられない体験となるでしょう。
赤川花火大会(山形県鶴岡市)
「感動日本一」と呼ばれるのが赤川河川敷で行われる赤川花火大会です。2014年には日本の花火100選で堂々ベスト10に入りました。毎年8月の土曜日に開催され、約12,000発が打ち上げられます。
発数はそれほど多いわけではありませんが、特徴はそのプログラムにあります。オープニング・ドラマチックハナビ・市民花火・希望の光・エンディングの5つに分かれており、その合間には競技大会も行われます。
各煙火店が掲げるテーマに沿った花火とそのドラマティックなデザインは感動的で、また観客の立場で考えられた会場作りも好評です。
諏訪湖湖上花火大会(長野県諏訪市)
諏訪湖湖上花火大会がおすすめの理由は、約40,000発もの花火が湖上で見ることができるその豪快さ、そして湖の周りのどこからでも花火の鑑賞が楽しめるところです。
毎年8月15日に開催され、この全国屈指の規模でもある会場には約50万人ほどの人出があります。
穴場スポットをいくつか紹介します。打ち上げ場所から近く大ナイヤガラをしっかり見ることができる「百景園」、屋上を鑑賞用に開放(有料)している「ホテル紅や」、高台から花火や町を一望できる「立石公園」、混雑が嫌いな方向けの「高ボッチ高原」などがおすすめなので、ぜひ参考にしてみてください。
隅田川花火大会(東京都墨田区)
東京で規模の大きい花火大会といえば、7月下旬の土曜に開催される隅田川花火大会です。約20,000発の花火が隅田川上に上がる光景は、1733年に両国花火として始まった歴史を受け継いでいます。
第1会場および第2会場があり、毎年95万人もの人を魅了しています。ライトアップされたスカイツリーとの共演も見ものです。
スカイツリーと言えば、展望台から花火鑑賞ができるプランもあります。東京の夜景と花火の幻想的な光景には、感動すること間違いなしでしょう。
浅草に近いので、昼間は浅草を散策して、夜になったら花火を鑑賞するプランも良いですね。
長岡祭り大花火大会(新潟県長岡市)
最後に日本三大花火のひとつ、長岡祭り大花火大会を紹介しましょう。100年以上の歴史を持ち、数々の花火を観たマニアのような人でも大満足するほど見事な花火大会です。
開花時は約650メートルにもなる正3尺玉、約5分間に渡って続くフェニックスなど、約20,000発の花火を観るために100万人以上の人が会場を訪れる人気のほどは、大会当日に運行される臨時電車があるということからも分かります。
長岡花火公式アプリを利用できたり、プロモーション動画が作られたりしているのも特徴的ですね。
花火大会に行く際の準備
ここでは、事前に知っておくことでスムーズに花火鑑賞を楽しめる準備についてご紹介します。
花火大会に行くための準備
花火大会は、誰でも気軽に楽しめるイベントです。しかし、毎年各地の花火大会はどこも混雑します。
有料席を予約すれば別ですが、当日、河原などに座って鑑賞したい場合は、早い時間から場所取りをする必要があります。春のお花見と同じで、大人数であれば場所確保の難易度はさらに上がります。
そのため、行きたい花火大会については有料席や穴場を事前に調べておくと良いですね。
また、最寄駅や会場までの道のりも大変混雑します。友人と会う場合にはどこで待ち合わせるか、どのタイミングで帰るのかなどを決めておくと良いでしょう。
そして、混雑した場所ではスリに狙われる可能性もあるので貴重品には注意を払うとともに、小さなお子さんが迷子にならないように気をつけることも大切です。
なお、会場までの道のりにはたくさんの屋台が出て、日本のストリートフードや飲み物を買うことができます。これも花火に関する風物詩ですので、お金を持っていき、いくつかトライすると楽しいでしょう。帰宅するときは、食べ物や飲み物のゴミを放置せず責任を持って処理してください。
花火大会にあると便利なもの
レジャーシートの上に座りながら観る花火はスペシャルな時間になります。しかし、湿度の高い日本の夏、そして川沿いで行われることの多い花火大会では蚊などによる虫刺されに悩まされることもあります。
そこで、虫除けスプレーや痒み止めを持っていくことをおすすめします。その他には、ウェットティッシュ、汗拭きシート、うちわや扇子なども暑い夜に活躍するグッズです。
浴衣で花火を観に行こう
最後に、花火大会に行くときの提案をひとつ。ぜひ、浴衣を着て出かけてみてください。
着物と比べて気軽に着れる浴衣は、夏ならではの服装です。日本の夏を浴衣で過ごすことは、とても素敵な日本文化体験になります。
浴衣はユニクロでも売っていますし、セカンドハンドも多くあります。多少着付けが崩れていても、下駄でなくサンダルでも、細かいことは気にせずトライしてみてください。
夏のみ営業する浴衣のレンタルと着付けがセットになったサービスもオンラインで簡単に探すことができます。ぜひ、浴衣姿で花火を観て楽しい思い出を作ってみてください。
まとめ
夏と言えば花火大会というほど、日本人は花火に親しんできました。女性だけでなく男性も浴衣を着て出かければ、素晴らしいカルチャーイベントになります。
有名な花火大会はシーズンを代表するような一大イベントです。ぜひ、この夏は花火大会に出かけてみてはいかがでしょうか。