滞在中

日本の確定申告が必要な外国人とその手続き

final tax return japan

日本で生活し、日本で仕事をしている外国人の中には、確定申告をしなければいけない人もいます。しかし、全員が確定申告をするわけではありません。

この記事では、どういった人が確定申告をする必要があるのか、さらには具体的な手続きの流れと提出書類についても解説しています。納税漏れをしないためにもぜひ参考にしてみてください。

確定申告が必要な人

persons who need tax return

外国人であっても、日本で給料を得ていれば確定申告が必要になる場合があります。具体的には、以下のいずれかに当てはまれば、確定申告が必要となります。

  • 給与所得がある人
  • 公的年金などに関して雑所得から所得控除を差し引くと残額がある人
  • 退職所得がある人
  • 特定の計算を行った結果残高がある人

ここでは「給与所得がある人」と「特定の計算を行った結果残高がある人」について詳しく解説します。

給与所得のある人

基本的に、給与所得のある人のほとんどは、会社が年末調整を行うことで所得税などを精算しているため確定申告は不要です。

ただし、以下の計算を行った結果残高があり、なおかつ特定の条件に当てはまった場合は確定申告をする必要があります。

  1. 所得の合計額から所得控除を差し引く(課税対象となる所得金額を求める)
  2. 1の計算結果に所得税の税率をかける(所得税額を求める)
  3. 2の所得税額から配当控除額、住宅借入金等特別控除額を差し引く

この計算の結果、残高が発生し以下のいずれかの条件に当てはまると確定申告をしなければいけません。

(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える
(2) 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える
(3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える
※給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。
(4) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
(5) 給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた
(6) 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている

引用元:確定申告が必要な方|国税庁

複数の会社から給料を受け取っていたり、副業をしていたりする方は確定申告の対象になっていないかチェックしてみると良いでしょう。

特定の計算を行った結果残高がある人

以下の計算を行い残高がある場合は、確定申告を行う必要があります。

  1. 所得の合計額から所得控除を差し引く(課税対象となる所得金額を求める)
  2. 1の計算結果に所得税の税率をかける(所得税額を求める)
  3. 2の所得税額から配当控除額を差し引く

先ほど「給与所得のある人」の部分で解説した計算と似ていますが、こちらは3で差し引いているのが配当控除額のみとなっている点に注意してください。

以上が、確定申告をする人の条件です。なお、所得税についてはこちらの記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

確定申告の手続き

tax return form

ここでは、確定申告を行う際の手続き内容、さらには注意点について解説します。なお、ここでは「非永住者」を想定して解説しています。

日本に住所を有している人、もしくは現在まで引き続き1年以上居所を有している人のことを居住者と呼びます。そしてこの居住者のうち、以下の状況をどちらも満たしている人は「非永住者」となります。

  • 日本国籍を持っていない
  • 過去10年で日本国内に住所もしくは居所を有していた期間の合計が5年以下

日本に滞在している外国人の場合、この非永住者に該当する人が多いと考えられるため、ここでは非永住者にフォーカスして解説しています。

非永住者は、先ほど説明した確定申告をする人の条件を満たしていれば確定申告をすることになります。また、母国など日本国外で得た所得に関しても、日本の口座への送金の有無にかかわらず課税対象となるため、意外と多くの人が確定申告をすることになるでしょう。

確定申告の準備

その年の確定申告は、翌年の2月16日頃〜3月15日頃に行うというのが原則です。曜日によって期限は前後するので注意しましょう。

確定申告を行う場合、まず確定申告書を入手し、内容に沿って必要事項を記入します。また、以下のような書類も必要となるため、全て用意した上で税務署に提出するのが基本的な流れです。

  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 口座番号のわかるもの(本人名義の通帳やキャッシュカードなど)
  • 所得がわかる書類(源泉徴収票や支払調書など)
  • 控除を受けるための書類(控除を受ける場合)

本人確認書類については、マイナンバーを確認できる書類と在留カードやパスポートといった身元確認書類の2種類を用意してください。また、印鑑についてはシャチハタ不可です。外国人の方で印鑑を持っていない場合はサインで代用しましょう。

そして、控除を受ける場合は、控除の該当者であることを示す書類が必要になります。例えば、医療費控除の場合は、医療費の明細票や交通費の領収書などが当てはまります。

なお、確定申告の申告書類には「A」「B」の2種類がありますが、判断がややこしいので迷ったら詳しい人や後述する相談窓口に聞いてみましょう。

確定申告書類の提出

必要な書類を用意したら、税務署に必要書類を提出します。提出方法は以下の3つです。

  • 税務署に直接持参する
  • e-taxを利用する
  • 郵送で税務署に送る

税務署に直接持参すると、不明点を職員の方に質問しながら申告書を作成することができます。特に初めて確定申告をする人で不安がある場合はこの方法を選んだほうがいいでしょう。

税務署の所在地は以下で確認できます。

ただし、確定申告の時期の税務署は非常に混雑するため、待ち時間が長くなります。時間に余裕を持って行くようにしてください。

一方、e-taxとは、国税庁が提供する電子申告・納税システムのことです。この方法であれば自宅から好きなタイミングで確定申告をすることができます。ただし、利用にあたっては利用者識別番号と呼ばれる番号を取得する必要があるため、準備が多少大変かもしれませんね。

税務署に行かずに確定申告を行う方法としては、e-tax以外にも郵送による提出があります。こちらも自分の好きなタイミングで行うことができます。

以上が大まかな確定申告の流れと提出方法です。もし確定申告の際に不明点などが出てきたときは、下記相談窓口に問い合わせて確認するようにしてください。以下のページは、英語に対応しています。

まとめ

今回は、確定申告について、具体的な対象者から手順、書類の提出方法などについて解説しました。

外国人であっても確定申告が必要になるケースは多々あります。初めて確定申告をするという人は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

タイトルとURLをコピーしました