歌舞伎町は日本で一番有名な繁華街です。近年では外国人観光客の人気も高まり、この街を歩けば多くの外国人を目にします。
また、歌舞伎町は「眠らない街」とも呼ばれ、一昔前まではあまりいいイメージを持たれず、馴染みのない人が一人で歩くのは危険と言われるような場所でした。そんな歌舞伎町がどうやって今のように外国人観光客に人気の街となったのでしょうか。
この記事では歌舞伎町の歴史を振り返りつつ、今の様子と外国人向けのおすすめスポットをご紹介します。この記事を読めば、日本で暮らすのに楽しみな場所がまた一つ増えるでしょう。
歌舞伎町はどういうエリア?
歌舞伎町と聞くと、「人が多くてにぎやか」「楽しいスポット、面白いお店がいっぱいある」など、明るいイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、一昔前までは歌舞伎町といえば「危険」「夜のお店がたくさんある」「道を歩けば声をかけられる」といったイメージを持たれていました。
なぜ昔の歌舞伎町にはこのようなイメージがあり、現在では変化したのでしょうか。そんな疑問を解消するための歌舞伎町の歴史をご紹介します。
歌舞伎町の名前の由来
歌舞伎町の名前の由来は、もともと建設が予定されていた「菊座」という歌舞伎劇場です。
歌舞伎町はもともと貧しい人が暮らすエリアだったのですが、戦争後、「文化的で賑やかな街にする」というコンセプトの下で復興が進められていました。その中で、現在はゴジラヘッドで有名な新宿東宝ビルのある場所に菊座の建設が予定されていたのです。
こうした流れがあり、1948年に歌舞伎町が誕生しました。結局、菊座は建設されませんでしたが、1956年から東急文化会館や日本最大の映画館「ミラノ座」、後に演歌の殿堂と呼ばれる「新宿コマ劇場」が誕生し、文化的でにぎやかな街という当初のコンセプトは達成されました。
ダークなイメージから現在の観光地化まで
1985年に新風営法という法律が施行されると、映画館などの深夜営業に関する規制が厳しくなりました。一方で、性風俗店の開店が相次ぎ、歌舞伎町を訪れる人の目的が変化しました。
日本がバブル経済の真っ只中ということもあり、これらの店が盛え、現在までつながる歌舞伎町のダークなイメージを生み出していったのです。
この歌舞伎町のイメージを一新しようとしたのが、東京都知事だった石原慎太郎でした。2003年ごろから歌舞伎町浄化作戦として、治安対策、違法看板の撤去、路上勧誘の取締り、パトロールなどの政策を実行しました。
2008年には歌舞伎場のシンボルだった新宿コマ劇場が閉館となり、跡地には2015年に「新宿東宝ビル」が建設されました。このビルは「TOHOシネマズ」「ホテルグレイスリー新宿」を基幹テナントとし、歌舞伎町の観光地化を促進しました。
その後も続々と新しいホテルが建設され、歌舞伎町は外国人観光客が訪れるスポットへと変化していったのです。
日本における歌舞伎町の立ち位置
歌舞伎町には未だにダークなイメージを持つ人も少なくありませんが、当初のコンセプト通り文化的なイメージを持つ人も多くいます。映画館や新宿コマ劇場、小さな舞台など、自己表現をする場があります。
また歌舞伎町は居酒屋やバー、レジャーを楽しめる交流の場としても認知されています。週末にはビジネスマンが飲食店を目指してやってくる、若者が娯楽を求めてやってくるといった場でもあるのです。
なかでも「新宿ゴールデン街」は200軒以上の個性豊かな店が並ぶ飲食店街として、多くの人が訪れています。外国人観光客にも人気のスポットとして知られているので、次の章で詳しくご紹介します。
歌舞伎町で人気のスポット
新宿ゴールデン街のように古くから人気のあるスポットから、最新技術を体験できるスポットまで、歌舞伎町の観光スポットをご紹介します。
新宿ゴールデン街
新宿ゴールデン街は戦後の闇市が発端とされています。新宿駅前にあった闇市が規制の強化で現在地に移転し、飲食店街になったのです。
ゴールデン街には日本の著名人が多く集まったことで有名です。作家、編集者、ジャーナリストといった文筆関係者が集まり、熱い議論を繰り広げるようになりました。そして、常連の作家が直木賞や芥川賞といった日本の文学賞を受賞したことで知名度が上がり、新宿ゴールデン街は文化人の集う街として知られるようになりました。
その後も映画監督、演出家、俳優、女優やモデルが客として訪れる、あるいは店員としてゴールデン街で働いていたものが有名になる、といったことが続きました。ゴールデン街の店は小さく、数人で満席となってしまう店が多いです。それゆえ客同士の交流が盛んで、常連の文化人が新たな文化人を連れてやってくるというループが生まれました。
日本を訪れた外国人観光客にも距離の近さが好評で、日本人や他の外国人同士で気軽にコミュニケーションができるフレンドリーな雰囲気があります。店員と客の距離も近いため積極的な交流が生まれ、日本の文化を一番感じられるスポットだったと感じる人もいます。
こじんまりとした店が軒を連ねる路地は、マッチ箱のようだと親しまれてきました。昔からの雰囲気を残しており、戦後から現在までの日本の歴史を感じることができます。
ロボットレストラン
ロボットレストランは2012年にオープンしました。レストランと名前がついていますが、メインは食事ではなく、ロボットを中心に繰り広げられるエンターテイメントショーです。
当初は日本人をターゲットにしていましたが、今や海外の人気スターがお忍びで訪れるなど、外国人に人気の観光スポットになっています。店の入り口では、ロボットレストランを訪れた人気スターの写真が飾られています。
外国人を惹きつける一番の魅力は、なんといっても地下1階の舞台で行われるエンターテイメントショーです。日本の伝統文化である和太鼓や三味線を使った演奏やダンスパフォーマンス、そしてきらびやかな衣装に身を包んだキャストと巨大なロボットとの響宴が魅力です。
迫力のあるパフォーマンスや派手な演出に目がいきがちですが、ショーのストーリーも見所があります。有名な映画のパロディや小ネタをはさみ、大声で笑ってしまう観客が後をたちません。
日本で歌舞伎町にしかないエンターテイメント施設を、一度体感されてみてはいかがでしょうか。
サムライミュージアム
「サムライミュージアム」は日本の歴史に名を残す「サムライ」のスピリットを体験できるスポットです。館内には戦国武将の鎧兜、日本刀や火縄銃など70種類以上の展示品があります。おすすめは兜を身につけ撮影ができる体験会と、現役のパフォーマーによる殺陣ショーです。
体験会では戦国武将のようなスタイルで記念写真を撮ることができます。実際に兜を身につけてみると、その重さに驚くのではないでしょうか。
殺陣ショーは1日4回、10~15分程度の公演になります。ハリウッド映画「ラスト・サムライ」で日本の殺陣シーンは海外でも話題になりましたが、実際に目の前で繰り広げられる殺陣の迫力は圧巻です。
入場料を払えばどちらも無料で参加できるイベントなので、歌舞伎町を訪れた際はぜひ体験してみてください。
まとめ
歌舞伎町は日本の戦後から現在までのディープな歴史を感じられるスポットです。現在ではかつてのダークなイメージは薄れ、外国人観光客が多く訪れる人気スポットとなっています。
まだ訪れたことがないという人は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。